フーテン少年日記 / Okoshi Naoto

ドードー・フロム・ザ・ユートピアという名前で音楽をつくっています。

パーマネント・ストレンジャー

こういう気分の時は、ジム・ジャームッシュの「パーマネント・バケーション」を見ることにしている。むむ、見ることにしているっていうのはちょっと嘘だな。見てしまうのほうが正しいから。


彼が学生時代に作成したというその映画は、一言で説明すると、「何も起こらない映画」ではあるんだけど(というか、ジム・ジャームッシュの映画は全部そんな感じだよね笑)、初めて鑑賞した時は、「あぁ、こんなに同じ感覚を表現してくれるひとが、世の中に居てくれて良かった」と、心が血を流したことを鮮明に覚えている。いや、覚えている、は適切じゃないか。見るたびにそう思うんだし。


おそらく、ぼくは前世でとんでもない大罪を犯してしまったのだろう。生まれつき「常に異邦人でいなくてはいけない呪い」にかかってしまっている。

 

物心ついた頃から、何に対しても強い孤独を感じてしまう性分で。どんなに楽しい場所にいても、どんなに親しいひとといても。むしろ、楽しければ楽しいほど、みんなが優しくしてくれればしてくれるほど、自分はひとりなんだ、と、強烈に感じさせられてしまう。なんでだろうね、多分そういう性格ってだけなんだろうけど。大人になったら、もう少しまともに、普通になれるかなとも思っていたけれど、特に変わらなかったね。


ぼくの好きなミュージシャンは、「ひとりでぽつんとした孤独ではなく、波のように襲い掛かってくる孤独」という表現をしていたけど、それは完全に正解。取りつく島もなく、黒洞々たる波濤にひたすら流され続け、なんとか溺れないようにもがいているような感覚。


最近、楽しいことが多すぎた。嬉しいことが多すぎた。毎日、魔法の時間のように感じている。その分、その波は大きく複雑に荒れて、この心を引き流し、取り込んでいく。

 

もし、物語に大団円があるなら、自分はその場に存在せずにいられたらな、ってよく思う。美しいエンディングを迎えるとき、きっと、ぼくはそこにいないほうがもっとずっと素敵で、美しいはずだって。RPGの主人公って、大体そういうものだしね。まぁ、ぼくはどちらかというと魔王側の人間だろうけど。「しあわせの王子」みたいなのにも憧れるなぁ。自分自身のことを勘定に入れるかどうかって、あんまり興味ないことだから、俯瞰で見た時の結果が自分好みである方を選びたくなる。


でもね、もう良い大人だから、この孤独は未来永劫消えるものではないことを、ちゃんと理解しているんだ。その孤独と向き合って、理解してあげられるのは自分だけ、ということも。だから、誰にも共有できないし、そのつもりもない。きっと、なんだかんだ言いながら、この孤独を愛しはじめているんだろうな。


そんなんだから、昔から失踪癖があって、いろんなひとを困らせてきた。だって異邦人だからね。ぼくは永遠に異邦人。とりあえず、今回に関しては、あらかじめ謝っておきます。そろそろ、自分の心の世界を救ける準備をするから。

 

ぼくのバビロンはどこにあるんだろう。まぁ、別に、どこにもなくて良い。

 

少しずつ春がやってくる気配がしている。春はお別れの季節。ほら、大好きなメロディーが聞こえてきた。"大人になるなよ、無駄に許すなよ、二度と日和るなよ、きみは独り、絶対独りで無敵さ"。


楽園の追放者(Somebody To Love) / Poet-type.M
https://youtu.be/QWLIMJ9UgK4

 

とてもありがたいのは、ぼくの愛するミュージシャンは、こんな気持ちのときのための音楽をすでに作ってくれているということ。例えばこういうの。


Lesson / BURGER NUDS
https://youtu.be/cxqHL6Oj8MQ

 

All Bet / Good Dog Happy Men

https://youtu.be/1ogGaTU2BhY

 

こんなことを言ったり書いたりすると、ありがたいことに「何か悩んでいるの?」って心配してくれるひともいるんだけど、大丈夫。ずっとこんな感じで生きているからさ。悩むのが好きなんだろうね。まぁ、ひとつ問題があるとすれば、最近、心がBUMP OF CHICKENすぎて、言うことが押し並べて藤原基央になるので、その対策については相談者を募集しているよ。