フーテン少年日記 / Okoshi Naoto

ドードー・フロム・ザ・ユートピアという名前で音楽をつくっています。

あのヘラジカはオルゴールを鳴らす

ぼくはもう、これから先、バンドを組むことは決してない。バンドは友達としかやれないし、やりたくない。Baumkuchenは、完璧にバンドだった。圧倒的な友情物語だった。もう、あれ以上のバンドは絶対にできない。それくらいに、最高の友人たちだった。


星月夜 / Baumkuchen
https://youtu.be/Sf57NY9-Cdk

 

Baumkuchenは、その初めこそぼくひとりの名前だったけれど、前みたいにその名前をひとりで背負う気持ちにはどうしてもなれなくなってしまった。


前にも話した通り、ぼくは前世の罪によって、生まれつき「常に異邦人でいなくてはいけない呪い」にかかってしまっている。


だから、いま過ごしている場所に居心地の良さを感じ始めたら、そこにいるひとの微笑みに優しさとさみしさを感じ始めたら、それはもう、お別れの合図。見てるだけで愛しいと思える間に、行かなくちゃいけない。その美しい風景が、当たり前になってしまう前に。


思い返せば、いつだって、ひとりで笑えたことなんてなかった。いま、ぼくのこの現在地は、少し満たされ過ぎている。笑顔と優しさにあふれすぎている。そろそろまた、ひとりだけの苛烈な孤独の中に帰らなくちゃいけない。誰にも理解させない、さみしさの中で、自分と向き合わなくちゃいけない。

 

そういうわけで、ぼくはBaumkuchenという最高の宝物にも、そろそろ一度さよならを言おうと決めた。腹をくくるまで、だいぶ時間がかかってしまったけれど。この先のいつかどこかで、人生の時間があいつらと交差した時に、また出会えれば良いのだから。

 

その一環として、しばらくは、どこにも辿り着けない異邦人として、ひとりで、独りの音楽を作る。そのためのペルソナに、ぼくは「orgel elk / オルゴールエルク」という名前をつけた(あらゆる友人に、「ピンとこない」と言われたけど)。

 

初めて知ったんだけど、オルゴールってオランダ語なんだね。orgelって書くと、なんのことだかよくわかんなくなるから、意地の悪いぼくにはぴったり。あと、動物の名前をどうしてもつけたいと思っていた。warbearみたいで、わりと気に入っている。


この曲は、orgel elkという屋号を背負って初めて世の中に出す作品。率直に言うと、「死ぬ前にこの曲が作れて良かった」という気持ちです。よかったら聞いてあげてね。フルコーラス版はまたいずれ、ね。

 

Moon Law / orgel elk

https://youtu.be/D06cUSOfPuc

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


バンドしたいや。あいつらと。